ゆるめる
Alubomulle Sumanasara(著)『小さな「悟り」を積み重ねる』(集英社新書、2011年)
なかなか難しいことが書いてあるとは思うのですが、心が穏やかになる本です。時々立ち止まって読むのには、お薦めです。変化を受け入れ、ジャッジメントのようなことを手放して、瞬間瞬間ごとに、ポジションを取り続けるという感覚でしょうか。悟りさえ、至るものというよりは、何度も悟る、そして小さく悟り続けていくというのがコツのようです。(2011年)
以下は、今を生きることについての箇所からの引用です。
「・・・法則を無視して速く生きるのも遅く生きるのも、ともに正しくないのです。ファストライフもスローライフも必要ない。ほんとうに必要なのはノーマルライフです。/ ノーマルライフというのは、宇宙の法則に合わせたスピードで生きるということです。/ 具体的に説明します。これは、『今』を生きることなのです。人生は今だとすると、今何をするべきかがすぐわかります」(p. 76)
目次にメッセージ性があるので、以下にリストしてみます。
まえがき
第1章 あべこべ人生の夢から覚める
あべこべ人生の夢から覚める
人が考えるのはバカだからである
苦しみの根源にあるものは何か?
運命という考え方は間違っている
人生の意味を問うことに意味はない
人生は尊いものではない
人生は小さな「答え」があればいい
生きる不安は消せるものなのか?
不安は放っておけばいい
第2章 「諦める力」で人は成長する
完成は瞬間においてしかない
「諦める力」が幸福をもたらす
「自分さがし」は最期に自分を見失う
生きることに本来自由はない
ギブアンドレシーブで人間関係を回す
スローライフでもファストライフでもない生き方がある
ノーマルライフという理想的な生き方
ポジティブすぎると人は成長しない
真の成長はプログレッシブな姿勢から
極端なものは心の病。その真ん中もやはり病
第3章 疲れない生き方は可能である
仕事は本来疲れないものである
人間はそもそも自立できない生き物である
「聞く」ことを疎かにすると道を間違える
「自分を守る」ことを怠ってはいけない
豊かすぎると人は奴隷の生き方を強いられる
「足る」ことが実感できない人はどうすればいいか?
生きる上で必要なものは容易にそろう
迷ったときの選択はどちらに行ってもかまわない
第4章 争いをもたらす自尊心を捨てる
自分すら頼りにしないほうが救われる
愛はほんとうは悪いものである
自尊心の扱い方を間違えると死に至る
「自分が一番」という秘かな思いを捨てよ
たとえ人生に意味がなくても、楽しめる
人生というゲームを操る上手なプレイヤーになる
人生の壁は意外と低いもの
「何もしない」という刺激こそ求めよ
「逆境」は受け入れればおのずと「順境」になる
過去の経験と記憶は思っているほど役に立たない
力を抜いて生きるコツ
第5章 人生は割り算にするといい
足し算の人生から引き算の人生へギアチェンジする
「脳が喜ぶ笑い」が問題を解決する
もっと泣いたほうがいい
空しさの感情は欲が大きいから起こる
矛盾を当たり前として生きる
実は頭でっかちではない現代人の悲劇
人は常識を破る自由と破ってはいけない常識の二つを持っている
小池龍之介(著)『平常心のレッスン』(朝日新書、2011年)
生きることに力が入りすぎていると感じたら、本書が効果的かもしれません。まるで子育てをするような感覚で自らの心に接する、というのがなかなかわかりやすい比喩だと思います。まずは、受け入れる、そして浮き沈みがあっても、静かにそれを観察する、観察できていない自分がいても、またそれを受け入れる。試してみたいと思います。(2012年)
以下は、印象に残ったところの引用です。
「先ほど述べた『捨』という態度、すなわち『捨てておく』というものの対極にあるのが『執着』です。/ 人は自分が執着していることについて、人から褒められたり、けなされたりすると、それを『捨てておく』ことができないのです」(p. 18)
目次は、以下のようになっています。
まえがき
第1章 なぜ、平常心でいられないのか?
– 「プライド=慢」とのつき合い方
第2章 なぜ、人を嫌いになるのか?
– 仕事、友人、家族との疲れないつき合い方
第3章 喜怒哀楽を、お釈迦さまはどう教えているか
– 仏道式・感情コントロール
第4章 生老病死に平常心で臨む
第5章 平常心を身につけるための日々の習慣
– 焦らず、諦めず