語形成に関すること — 接尾辞の -wise
接尾辞の -wise
接辞の中には非常に頻繁に用いられるもの、それほど頻度が高いとはいえないものなど、さまざまなものがあります。興味深いのは、あるとき、急に流行のようにある種の接辞が使用され、つぎつぎに派生語が生まれるという現象が起こることです。R. L. TraskはLanguage Change (Routledge, 1994) の中で、近年急速に使用がひろがっている接尾辞として -wiseに言及しています。以下に引用してみたいと思います。
“Affixes which were previously little used may suddenly become highly productive. This has happened with the ancient English suffix –wise, formerly confined to a handful of items like clockwise, lengthwise, otherwise and likewise. Within the last few years, this suffix has suddenly become enormously popular, and new coinages like moneywise, healthwise, profitwise and fitnesswise have proliferated”. (p. 21)
「~に関して言えば」というような感じで使用されるものが多いようで、辞書にない場合も、ある程度自由に新たな語彙を生成できる柔軟性があるように感じます。
なお、R. L. Trask は、”within the last few years”としていますが、すでに Houghton (1968) が、接尾辞 -wiseが急速に広がってきていることを指摘しています。Houghtonでは、辞書や先行研究の中で新しい用法の-wiseがどのように記述されているかについての言及もあります。Houghtonの書誌情報は、
- Houghton, Donald E. 1968. “The Suffix –wise“. American Speech 43: 209-15.