言語学の用語 — プライミング

脳科学や心理学で使われる「プライミング」という用語が、言語学においても頻繁に使用されるようになってきました。大谷直輝氏の『ベーシック英語構文文法』では、以下のように定義されています。

プライミング効果とは先行する刺激(プライマー)の処理が後の刺激(ターゲット)の処理を促進または抑制する効果のことを指します。たとえば、「牛」の写真を見せた後に、「牧場」「モーモー」「ミルク」などが日本語の語であるか同課を確認するテストをすると、刺激を与えていない場合に比べて、聞き手の応答が早くなります。これは、知識の一部が活性化すると、ネットワークによってつながっているその周辺の知識も活性化するからと考えられます。(p. 114)

Variationistの観点からは、たとえばどちらを選ぶことも可能な条件下で、先行する刺激があとの選択に影響を与えるというようなコンテキストで使用されることも少なくありません。たとえば、to drive slow, to drive slowlyのようなzero adverbと-ly adverbの両方が想定されるような場面で、すぐ前に-ly adverbがあれば、次も-ly adverbが選択されやすいといった現象についても、この効果を使って説明することもできるでしょう。

参照文献

大谷直輝. 2019. 『ベーシック英語構文文法』ひつじ書房.