本と歴史

本と製本

私たちの時代では本は製本された状態で手に入れるものというのが常識となっていますが、本の歴史を見るときには、本と製本は二つの異なる次元で見ることが必要になる場合が少なくありません。

西洋の写本や印刷本を見ると、同じ作品でも別の作品と組み合わせて製本されていたり、本体はそのままで、製本だけがのちの時代に新しくなっていたり、所有者の好みで豪華版(ときには宝石付き)になっていたり、ある意味で本そのもの以上にコレクターの意図を感じさせる場合があります。作品を組み合わせる場合には、その組み合わせ方にも本を所有する人の意図が反映します。

慶応義塾大学名誉教授の高宮利行先生のYouTubeを見ておりましたら、書物史講座の第19回と第20回で未製本シートが紹介されていましたので、リンクを張ってみたいと思います。本が製本される前にどのような状態にあるのかがわかりやすく解説されています。

書物史講座「未製本シート」前編(#19) 製本される前の形とは?ケンブリッジの書誌学者A. N. L. マンビー旧蔵未製本シート Unbound sheets, A. N. L. Munby (8:26)
書物史講座「未製本シート」後編(#20) 未製本シートの面白さ、透かし模様、ピーター・ヘイリンの校正刷り watermarks, Peter Heylyn’s proof copy (15:52)

大変貴重な見製本シートを実際に動画の中で見ることができます。

本から受け取る情報

こちらの動画は、神戸市外国語大学名誉教授(元学長)の指昭博先生の講演を収録したものです。講演ですから少し長い動画になりますが、本から受け取る情報をどのように理解するかという点で、大変興味深い内容が多々含まれています。この動画の中でも、製本前の本の状態や、透かしについて、具体的な例を示しながら解説されています。本に記載されている年代についても注意が必要であることがよくわかる面白い動画です。

神戸市外大講演会vol.4 指 昭博 氏「古い本からのメッセージ~時代を超えた情報を読み解き伝えること~」(1:35:25)