変化の時代に

田坂広志著 『複雑系の知――21世紀に求められる7つの知』(講談社、1997年)

20世紀の終わりには、すでに創発の考え方が提唱されていました。出版されてから時間が経っていますが、著者の社会観がよく伝わる形で解説されていると思いました。印象に残ったところを引用してみます。

「このことを考えるとき、まず留意すべきは、創発という言葉が『自動詞』であって『他動詞』ではないということである。すなわち、社会は自ら創発するものであって、我我は、社会を人為的に創発させることはできないのである。それゆえ、我々にできることは、社会が創発するための条件を整えることだけである。」(p. 85)

目次からも本書の内容が見えきますので、以下に掲載しておきます。

序章  複雑系の知とは?――複雑系としての社会に生きる智恵
第1章 社会の本質を知るにはどうすれば良いか?――ポエットの知
第2章 社会の現実を変えるにはどうすれば良いか?――インキュベータの知
第3章 社会の創発を促すにはどうすれば良いか?――ストリーテラーの知
第4章 社会の歴史に参加するにはどうすれば良いか?――アントレプレナーの知
第5章 社会の問題を解決するにはどうすれば良いか?――セラピストの知
第6章 社会の法則を活かすにはどうすれば良いか?――ゲームプレイヤーの知
第7章 社会の未来を知るにはどうすれば良いか?――アーティストの知
終章  いま、なぜ、複雑系なのか?――21世紀に求められる複雑系の知

Kelly McGonigal(著)『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』(大和書房、2015年)

話題になっている本のようなので読んでみました。ストレスについての見方を変える本で、なかなか興味深いです。ストレスが体によくない影響を与えるのは、あくまで「ストレスは体によくないものだ」という思い込みがある場合であって、前向きに取り組めば、さらなる飛躍の原動力になるというのが、この著書の主張です。

他人への共感を通して成長する、という点について、以下のような一節もありました。

「どうやらわたしたちは、相手の苦しみに心を動かされない限り、相手の苦しみをとおして学び、成長することはないようです。相手のレジリエンスをただ傍観しているだけではなく、もっと踏み込んで、相手の苦しみにも強さにも心を打たれてこそ、わたしたちは学び、成長することができるのです」(p. 326)

『東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方』(PHP文庫)

上田正仁(著)の『東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方』が文庫本になって、手軽に入手できるようになりました。創造力も鍛えることができる、そして鍛えるための方法がある、というのが著者の主張です。

時代観というところでいうと、以下の箇所が目にとまりました。引用です。

「私は、今の日本は、過去に何度も経験した「破壊の後にやってくる創造の時代」に再び突入したと考えています」(p. 204)