文法用語のはなし
大門正幸(著)『「主語」とは何か?英語と日本語を比べて』(中部大学ブックシリーズActa 11、2008年)
中部大学ブックシリーズから主語に焦点を当てた本が出版さました。献本をいただき、ありがとうございます。本の紹介をさせていただきます。
英語を初めて学んだときには、あらためて定義することもなく、主語という用語に触れたのではないでしょうか。それでも多くの場合に、特に問題になることなく、英語学習が進んだものと思います。ここに紹介する著書では、このように一般に広く使用される「主語」の本質を、言語学的な視点から掘り下げてみようとするものです。
議論の過程で、言語学らしい考え方が2つ紹介されています。一つ目は「直接の証拠がない場合でも、他からの推論で結論を導いてよい」。二つ目は、「定義や規則に『例外』が見つかったからといってすぐにその定義や規則をダメなものとみなさない。『例外』が特定できる場合には、当該の定義や規則は十分有効である」(p. 46)となります。
日常的に使用している主語の問題を、あらためて意識してみるのも面白いと思います。典型的に主語と言えるものから、周辺的なものまで、さまざまな形式のものを主語と呼んでいたことがわかります。