英語の歴史と旅
柳朋宏(著)『英語の歴史をたどる旅』(風媒社、2019年)
中部大学のブックシリーズ、アクタの中の1冊です。主に古英語(449年~1100年)から中英語(1100年~1500年)を対象に、英語史の外面史にあたるイベントやそのイベントが起こった場所について、詳しい解説がなされています。
中には現在ではかなりアクセスが大変な場所もありますが、著者自身が訪ね歩いて写真を撮影し、自らの旅の経験を踏まえた記述がなされていることからも、たいへん旅好きな著者によるブックレットだというのがよくわかりました。
私も合わせて5年ほどイギリスに滞在した経験があり、その間はいつも車を運転していましたので、イギリスはかなりいろいろな場所を探索したと思っていました。本書を読んでみて、英語の歴史に関連した重要な場所の中には、まだまだ行ったことがない場所があると実感しました。ぜひ、これからまた行ってみたいと思います。
英語史を学ぶ人にはぜひお薦めしたいブックレットです。全部で80ページほどですから、気軽に読めますが、英語が言語の性質を大きく変容させるに至った重要な出来事が詳しく紹介されています。これを読むだけでも、内面史が少し見えてくるような印象です。英語史の授業の中では外面史に十分な時間を割くことができずにさらりと流してしまう事柄を、とても具体的で、親切な解説とともに紹介してくれます。(2024年)