Apparent time

Apparent timeの前提

社会言語学でよく使用する概念にapparent timeがあります。一回の調査で言語変化を確認する方法で、世代による言語使用の違いを特定することで、言語変化が現在進行中であることを推定します。apparent timeが成立するためには、言語変化の多くが若者から起こり、結果的に年齢が高い話者との間に世代間の差違が生じるという前提が必要となります。この点については、Mair (2008) に分かりやすい説明があるので見てみることにしましょう。

“The basis of this method is the fact that most linguistic changes start with younger speakers, lower-class speakers, and in spoken and informal language and then spread into formal and written registers and educated middle-class usage. If in a synchronic sample a form is favoured by the younger informants or more frequent in speech or informal writing, it is plausible to regard it as an innovation in the early stages of its spread through the community” (pp. 1117-8)

このあとMairは、このapparent timeにはいくつかのpitfallsがあると議論を進めています。年齢が高い言語使用者の言語は本当に変化しないのか、そもそも言語変化が起こっているかどうかは別として、言語は年齢を重ねても固定的なものなのか、といった問い、apparent timeが使用できる言語変化とそうでない言語変化がある点にも注意が必要になるなどの点に言及があります。Mair (2008) 自体は、コーパス言語学と近年の言語変化全般を扱った論考ですが、apparent timeについての簡潔な記述を確認するのにも有用です。

  • Mair, Christian. 2008. “Corpora and the Study of Recent Change in Language”, in Corpus Linguistics: An International Handbook, ed. Anke Lüdeling & Merja Kytö, pp. 1109-1125. Mouton de Gruyter.