日本語と英語、および国際性
益岡隆志(編)『日本語研究とその可能性』(開拓社、2015年)
開拓社から『日本語研究とその可能性』が出版されました。献本をいただき、ありがとうございました。本の紹介をさせていただきます。
本書には、日本語に関する多様な論考が含まれています。まえがきに記載されているように、企画にあたっては二つのテーマが意識されたとのことです。一つは「異なる分野・アプローチ間の対話・交流」(p. iii) であり、もう一つは日本語研究の国際性です。
読者の側もこの点を意識して読まなければ、少し全体の流れがつかみにくいかもしれません。音韻論の部分などは母語話者としてあまり意識していなかった点が多く、日本語を専門としてない人には、かなり集中力を必要とする記述もあります。前半部分は、分野への知識があまりない、あるいは用語に慣れていない場合は、何度か戻りながら読む必要があるかもしれません。
全体としては、後半にいくにしたがって英語をはじめとする外国語と日本語を比較しながら、日本語を相対的に捉えていく印象が強まっていきます。何らかの外国語を言語的に分析している人にとっては、後半は比較的読みやすいと感じるかもしれません。
日本語のような言語を、専門性を維持した形で国際的に広く議論していくことは、急務だと感じます。技術的にはなかな大変な部分も多いと思います。そんなことを感じさせる一冊でした。