英語の多様性 — アイルランド

嶋田珠巳(著)『英語という選択――アイルランドの今』(岩波書店、2016年)

アイルランド英語について社会言語学的な視点から議論した『英語という選択 — アイルランドの今』が出版されました。献本をいただき、ありがとうございます。本の紹介をさせていただきます。

ブリテン島およびその周辺は、英語との関係においてなかなか複雑な歴史を有している地域が少なくありません。私が1989年から1993年にかけて生活したスコットランドもそうです。そして、本書にあるアイルランドもまたしかりです。

アイルランドで使用されている英語の特徴に詳しい本書ですが、文化的な内容もたくさん含まれています。たとえば、以下は本文からの引用です。

「私が一瞬で、『あっ、文化ってそういうことか』と感じとった気がしたのは数年前、日本のJRにあたるアイルランド鉄道のポスターの文字を目にしたときだった。ポスターはアイルランド語と英語のに言語表記になっていて、『時間通り(punctuality)』の下に『十分以内』とある。」(p. 19)