図書館とカフェ

ケンブリッジ大学図書館

「ことばと文化の書棚から」や「世界・日本の地域と文化を楽しむ」との関連で、ライブラリについて少しずつ書いてみることにしました。初回に取り上げたいのは、何といってもカフェです。これまで大学の図書館の構想等をする機会に、何度かカフェの併設を提案してみましたが、いつも即却下という形に終わったように思います。

けれども、私のこれまでの経験では、海外の図書館の中にカフェが併設されていて、ライブラリで過ごす時間を特別なものにしてくれたことは少なくなかったように思います。まず思い浮かぶのは、ケンブリッジ大学図書館です。

ケンブリッジ大学図書館はケンブリッジの中心部から少し外れていることもあり、長時間ライブラリで仕事をするときには、カフェで軽い食事をとることで、丸一日をライブラリの中で過ごすことができますから、必要あってのことだという側面は確かにあるでしょう。街に出て食事をしてからまた図書館に戻るとなると、大変な時間のロスになります。

とはいえ、静かな空間の中で集中したあとに、一息つける場所は気持ちを豊かにしてくれるように感じます。メニューは、スープやサンドイッチなど軽いものが多かったように思いますが、カフェでなら、友人と話をすることもできますし、ちょっとした息抜きになります。

ジョンライランズ・ライブラリ(マンチェスター)

マンチェスター大学のジョンライランズ・ライブラリは、Deansgateというとても華やかな通りに面しています。周辺にはたくさんのカフェやお店があり、その中に教会のようなヴィクトリア朝のゴシック建築があり、これが実はライブラリになっています。そういう場所にあるライブラリですから、ケンブリッジ大学図書館とは違い、カフェが必ずしも必要とされているわけではないかもしれません。それでも、ガラスケースのような貴重本室の中で数時間仕事をすると、図書館一階の奥にあるカフェがとてもありがたく感じることがあります。やはりメニューは限られていますが、軽めのケーキなどを楽しむのもよいと思います。

ヘラフォード大聖堂図書館

ヘラフォードの大聖堂図書館のカフェのことも思い出しました。こちらは大聖堂の中に以前からあるコンパクトな図書館と、新しく建てられた別棟の図書館に分かれています。大聖堂の古くからある図書館は、いわゆるchained libraryと言われるもので、中世の時代に貴重だった図書が鎖で本棚に繋がれた図書館です。現在でもこの形で残っているものとしては、他にもマンチェスターでChetham Libraryのものを見ました。もう一つヘラフォードの大聖堂図書館を有名にしているのは、Mappa Mundiです。

この図書館は何度も訪れましたが、最近は、古い本棚の部分をそのまま残しながら、少しエントランスの部分を改築し、Mappa Mundiを目立たせるような展示様式に変わっています。最初に訪れたときは、Mappa Mundiがそのまま暗い空間にぶら下げられていたように思いますが、現在はきれいなケースに収められています。

前置きが長くなりましたが、Mappa Mundiを見るために、さまざまな人たちが訪れるのでしょう。ライブラリに向かう空間に、さまざまな展示があり、廊下を利用するような形でカフェが併設されています。この大聖堂図書館の場合は、長時間滞在して仕事をするということは想定されていませんので、カフェの目的は少し異なるかもしれません。(本当に写本の調査をしたい場合は、事前に申し出て、別棟の方で仕事をします。)それでも、展示物を見た後に、その空気をまとったまま、軽い食事をしたりお茶をしたりすることができると、余韻が長続きして、とても豊かな気持ちになったように思います。