豊かな空間 — Lambeth Palace Library
ランベス・パレス・ライブラリ
2023年11月に文献調査のためにロンドンに出かけたものの、大英図書館のハッキングの時期と重なってしまったということがありました。同様の調査が他の図書館で可能ではないかと調べたところ、Cambridge University Library, UCL Library, Lambeth Palace Libraryを使うことで、予定していた調査(あるいはそれに近い調査)のかなりの部分を網羅することができるということがわかりましたので、これらの図書館を利用しました。この際に、初めてLambeth Palace Libraryに行くことになりました。
Lambeth Palace Libraryは、テムズ川の南岸にあります。ロンドンの観光スポットの多くがテムズ川の北に位置しているため、あまり行かない場所ですが、図書館の周辺は、大変きれいに洗練された感じになっていました。
Lambeth Palaceは、カンタベリー大主教のロンドンの公邸です。図書館は1610年にまでさかのぼり、大変歴史が長いこともあり、またその地位の高さから、貴重な中世写本等も多数所蔵しています。一般向けの展覧会も定期的に開催していますので、特に貴重書の調査が必要でないという場合でも、図書館を訪問して、蔵書を目にする機会が提供されています。図書館のホームページも大変わかりやすくなっています。このページから展覧会の情報、トークイベントの情報、貴重書を利用する場合の手続き、カタログ等にアクセスできます。
私の場合は、大英図書館が利用できないということで、急な利用になりましたので、初日はまずLambeth Palace Libraryを訪問し、展覧会を見て、あとは翌日以降の図書館利用の手続きとなりました。貴重書のリーディングルームは椅子の数が限られていますし、写本等がリーディングルームに運ばれてくる時間も決められていますので、完全な予約が必要です。直前だと予約が取れないこともありますので、予定がはっきりしているのであれば、ウェブ上で早めに予約をしておくのがよいと思います。調べたい図書が複数ある場合には、2点以上をカウンターに届けてもらう手続きをしておかないと、1点調べ終わったので次、という場合に、次の配達時間まで待つことになります。
利用の際には、リーディングルームのとなりにあるキッチンの中にロッカーがありますので、ここで必要なもの以外を預けます。キッチンの様子も家庭的で、なんとなくホッとするスペースです。蔵書の数々は素晴らしいですが、大英図書館等に比べると規模がやはりかなりコンパクトですから、司書の方たちもかなり個別対応をしてくれるという印象です。
となりのGarden Museumも見ごたえがあります。Museumの中の作られたモダンな雰囲気のカフェも落ち着ける空間です。図書館で仕事を終えたあと、あるいは展示を見た後に、是非寄ってみることをお勧めします。下の写真はカフェの中庭の空間です。
最後に追記になりますが、この記事を書くためにLambeth Palace Libraryを検索していたところ、次のようなページに出会いました。
「英国Lambeth Palace図書館、1,400冊の盗難図書を発見(記事紹介)」
図書の盗難は図書館の悩みの種です。このように歴史が長い図書館は、その規模も通常ではないようです。大英図書館のハッキングもショックの出来事でしたが、こちらもなかなかたいへんそう。(2024年)
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