アカデミックな環境でのAIの役割

Oxford Academicの動画から

AIの歴史はそれなりに長いとしても、生成AIが日常生活の中で自然に利用できるようになり、身近な存在となったのは最近のことです。このAIとどのように付き合っていくかは、AIの発展と同時並行的に議論し、深めていかなければならない問題だと思います。

Oxford University PressのYouTubeチャンネル、Oxford Academicにラウンドテーブル「AI as a transformative force for academic research」がアップロードされましたので、リンクを張ってみたいと思います。アカデミックな環境の中で、AIとどのような関係を構築するかという議論です。

1時間にわたる討論で、事前のアンケート結果や質問を手掛かりに、また5名の討論者が現段階でのそれぞれの意見を述べあいます。AIがアカデミックな活動のどのような部分をサポートするかというアンケートで上位に出てくる答えは、helping with analysis, time saving, efficiency, productivityなど、逆にAIによって失われるのではないかと多くの研究者が特に危惧しているのはcritical thinkin skillとなっています。事前のアンケートでは世代によるAIへの感覚の違いについての議論もありますが、選択肢が少し多すぎるため、まずは実態をもう少しつきとめたいという印象が残りました。

その他にも多数のテーマが議論の中で取り上げられていますが、AIのトレーニングに使われているデータの文化的偏向性は、AIについてのさまざまな議論の中で頻繁に言及されているものでしょう。少し視点を変えた問題点としては、全体がスピードアップすることで何がもたらされるのか、というものがあります。スピードアップには肯定的な側面が多いように感じますが、さまざまな分野で比較的平凡なアウトプットの「量」だけがただひたすら増えるという心配はないのか、なと考えさせられる問いかけもありました。

AIについてのシンポジウムやラウンドテーブルは、すでに各方面で盛んに行われています。これからもこの状況は続いていくことでしょう。AIをどのように利用すべきかのガイドラインもまだ意見の一致をみていないわけですが、それでもそのような社会の中で、AIは確実にその役割を拡張させていきます。隅々まで規定する、規制するという社会の在り方そのものが問われているようにも感じます。(2024年)