WALS Online

世界の言語の類型について学ぶツール

WALS Onlineは、The World Atlas of Language Structures (WALS)をオンライン上で検索できるサイトです。55名の著者によって、音韻、文法、語彙関係の構造が世界の言語でどのように異なるかが記述されていて、マップとリンクされていますので、ビジュアルにその傾向をたどることができるようになっています。

まずはトップページでその概要をつかむところから。そのあとFeaturesのところで調べてみたい現象を探してみましょう。入力して探すこともできますし、リストから選択することもできます。A49のnumber of casesでは、世界の言語の格の数がマップに表示されます。日本語も8~9格の言語に分類されていますので、この場合の格というのは、少し定義が広いようにも思います。

A121は比較構文になっています。英語のような形容詞や副詞を比較級にしてthanを付けるという比較構文の作りかたはどちらかといえばヨーロッパに集中していることがマップからわかります。言語によっては、thanにあたるマーカーを使わずに、後ろに来る名詞を核変化させる場合もあるようです。日本語は場所を表す「より」をマーカーとして使うということでlocationalに分類されています。locationalのタイプには、日本語の「より」のようにfromの意味のマーカーを使うものの他、toやatにあたるマーカーを使うものもあるようです。比較の対象をexceedを意味する動詞の目的語として示す言語も多いことがわかります。これらの方法に地域性があり、それぞれに特徴的な地域分布があるところが興味深いです。

同様に類型論の立場から言語の特徴を調べることができるサイトして、Grambankもあります。