感情との向き合い方

Barbara L. Fredrickson著  『ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則』(日本実業出版社、2010年)

旅行中に読むのに最適な気軽な本だと思って買いましたが、とても重要なことが書いてある本でした。いわゆるポジティブ思考が人々の意識と生活をどのように変えるかを、科学的に証明した著者が、そのメッセージを一般の人に伝えるために書いた本です。ポジティブ思考の本には、ネガティブな思考を打ち消すには3倍のポジティブな思考が必要になる、ということがよく書いてありますが、背景にこのような研究があったというわけです。ネガティブがゼロでもいけない、というところがポンイントです。(2013年)

印象に残ったところを引用してみます。

「ポジティビティ比を高める努力を始めるなら、自分の『本気度』を注視していくことが重要です。目指すのは、ほほ笑みの仮面をかぶることではなく、心からのポジティビティを感じる瞬間を数多く持つことです。ポジティビティはあの黄色いスマイルマークのように単純なものではないのです」 (p. 68)

「大多数の人の場合、ポジティビティ比は、「ポジティビティ・オフセット」を反映して、2:1あたりにあります。多くの時間は確かにポジティブなのです。しかしそれではまだ、『繁栄』の種をまくまでには至らないようです。『繁栄』側にいる人はみな、ポジティビティ比が「3:1」を超えているのです」(p. 188)

目次も掲載しておきます。

第1部 ポジティブ感情が人生に欠かせない理由
 第1章 ポジティビティに関する重要な事実
 第2章 ポジティビティは手段であって、目的ではない
 第3章 ポジティビティとは何か
 第4章 ポジティビティは精神の働きを広げる
 第5章 ポジティビティは最良の未来を作る
 第6章 立ち直りの早い人の共通点
 第7章 「ポジティビティ:ネガティビティ」感情の黄金比
第2部 ポジティビティ比を科学的に上げる方法
 第8章 自分の現在の位置を知る
 第9章 ネガティビティを減らす
 10章 ポジティビティを増やす
 第11章 「繁栄」に続く未来へ

positivityの自己診断のサイト

岸見一郎(著)『困った時のアドラー心理学』(中公新書ラクレ、2010年)

アドラー心理学というと構えてしまいますし、深めるには更なる勉強が必要だと感じます。しかし、言葉を大切にする、自分を大切にするなど、日常のさまざまな場面と関連付けながら再確認できる情報もたくさんありました。

自分が自分のために生きるのでなければだれが自分のために生きてくれるのだろうか、というのは確かにその通りです。自分の気持ちを伝えなければ相手に理解できるはずはなく、伝えることをせずに相手を切り捨ててしまうのも、確かに不合理です。自分が正しいことを証明できたとしても、自分のところから皆が去ってしまい、一人になったのでは確かに意味がないですね。(2013年)

関連の箇所を引用してみました。

「そこで、他の人については、気持ちを読もうとしないで、言葉で語られていることだけを手がかりにし、それ以外のことを判断材料にしないようにしましょう。自分については、自分が何を思い感じているかを言葉で説明しようと決めておくのがいいでしょう。」(p. 57)

以下は、目次です。

はじめに — 「何とかなる」と思えるための手引きとして
第一章 アドラー心理学の基本
第二章 自分自身のことで困った
第三章 友人との関係で困った
第四章 職場の人間関係で困った
第五章 恋愛関係で困った
第六章 夫婦、パートナーとの関係で困った
第七章 親子関係で困った
あとがき

Susan Cain著 『内向型人間の時代』(講談社、2013年)

タイトルでは内向型に焦点が置かれていますが、内向型と外向型の人間の時代という感覚の方がいいのかもしれません。(2016年)

以下は、印象に残ったところからの引用です。

「研究によれば、私たちの三分の一から二分の一が内向型である。つまり一クラスにいる内向型の子どもの数は、一般に考えられているよりも多い。内向型のなかには小さな頃から外向型のようにふるまうのが上手な子供がいて、そのせいで判別しにくくなっているのだ。クラス内の全員の求めにかなうように、教え方のバランスを考えよう」 (p. 325)
目次

はじめに 内向型と外向型 対照的な二つの性格について

パートI 外向型が理想とされる社会
1章 「誰からも好かれる人」の交流
2章 カリスマ的リーダーシップという神話
3章 共同作業が創造性を殺すとき

パートII 持って生まれた性格は、あなたの本質か?
4章 性格は運命づけられているのか?
5章 気質を超えて
6章 フランクリンは政治家、エレノアは良心の人
7章 ウォール街が大損し、バフェットがもうかったわけ

パートIII すべての文化が外向型を理想としているのか?
8章 ソフトパワー

パートIV 愛すること、働くこと
9章 外向的にふるまったほうがいいとき
10章 コミュニケーション・ギャップ
11章 内向型の特性を磨く方法

終章 不思議の国