家入葉子(著)『文科系ストレイシープのための研究生活ガイド』(ひつじ書房, 2005)

研究のメソッドを扱う著書が多数ある中で、研究生活ガイドというのは、意外に少ないのではないかと思いました。英語学を専門領域とする 著者が執筆した研究生活ガイドですが、多くの文科系の研究領域の方にもお使いいただけると思います。以下の目次から内容をある程度推定していただくこともできるかと思います。研究の方法そのものにも触れています。この分野は、時代の変化とともに大きく変化していきますので、必要に応じて参考にするぐらいのスタンスでお読みください。その他、学会での発表など、プラクティカルなトピックも扱っています。(2005年)

目次

はじめに

序章

第一章 研究生活へのイントロダクション――英語史研究の新しい形
現代英語研究と英語史
コーパス言語学
社会言語学
英語教育と英語史
そして英語史研究
英語史の本に書いてある膨大な情報の前に怖気づかない 
たとえばこんな研究 

第二章 時代とテーマの絞込み
研究者としてのタイプで選ぶ 
時代で選ぶ 
共時か通時か 
テーマで選ぶ 
方法論を選ぶ 
理論か記述か 

第三章 論文執筆のための準備と整理能力
整理能力はアイディアとともに重要 
言語データの整理 
参考文献情報の整理 
論文そのものの整理 
図書館の利用 
インターネット情報の整理 
電子テキストの整理 
論文や研究書についてのメモ

第四章 博士論文の執筆
面白いことだけでなく、面白くないことも扱うのが学位論文 
調査する文献を選定する 
書く順序をどうするか
とにかく書き始める 
とにかく書き始める方法にも二つのタイプ 
書き始めたらとにかく書く 
なかばまで書いたら、ゴールに向かって書く 
仕上げを丁寧に 
足で稼ぐことも多い 
博士論文の出版 
博士論文の執筆を終えてから

第五章 短い論文の執筆
短い論文の位置づけ 
推敲の手順と締め切り 
短い論文の裏技的な書き方 
英語か日本語か 
日本か海外か 
論文の長さ 
校正作業の意味 
学会発表で論文執筆のペースをつかむ 
論文をはじめに仕上げてしまう

第六章 研究生活の流れ
仕事から仕事への移行 
新しい分野や時代の仕事への移行 
写本を知る楽しみ 
統計の手法について 
学会の楽しみ方 
学会で研究発表をする際に
英語の表現集を作成する 
研究生活に起こりがちな不合理 
高度情報化社会における論文や著書の執筆
新たなコンセプトへの挑戦

あとがき