高田博行・渋谷勝己・家入葉子 (編著)『歴史社会言語学入門―社会から読み解くことばの移り変わり』 (大修館書店、2015年)
近年注目を集めるようになってきた「歴史社会言語学」を中心的なテーマとして、本書を編集しました。学習院大学の高田博行先生(ドイツ語学)、大阪大学の渋谷勝己先生(日本語学)との共編です。
社会言語学という用語は20世紀の後半から頻繁に使用されてきましたが、これに歴史の軸が加わると、意外にも新しい分野となります。現在、言語の枠を超えてのネットワークが確立しつつあります。
本書には、ドイツ語、日本語、英語を扱った複数の論考が収録されています。目次もご覧ください。
目次
第1部 序論
第1章 歴史社会言語学の基礎知識(渋谷勝己・家入葉子・高田博行)
第2章 文献と言語変種(金水敏)
第2部 言語変種
第3章 下からの言語史 19世紀ドイツの「庶民」の言葉を中心にして(シュテファン・エルスパス/佐藤恵(訳))
第4章 山東京伝の作品に見るスタイル切り替え 音便形・非音便形を事例に(渋谷勝己)
第3部 言語接触
第5章 中国語と日本語の接触がもたらしたもの 7~8世紀の事例に基づいて(乾善彦)
第6章 15世紀の英語とフランス語の接触 キャクストンの翻訳を通して(家入葉子・内田充美)
第7章 田言語接触の歴史社会言語学 小笠原諸島の場合(ダニエル・ロング)
第4部 言語計画
第8章 近代国民国家の形成と戦前の言語計画(山東功)
第9章 19世紀の学校教育におけるドイツ語文法ドゥーデン文法(1935年)にまで受け継がれたもの(高田博行)
第10章 英語における「言語計画」とは? 規範化に向かった時代(18~19世紀)(池田真)
参考文献
歴史社会言語学は歴史語用論と合わせて紹介されることが少なくありません。本ブログには、『歴史語用論の方法』(ひつじ書房、2018年)を紹介したページもありますので、そちらも合わせてご覧ください。