日本から世界へ
渋谷勝己・簡月真著 『旅するニホンゴ』(岩波書店、2013年)
『旅するニホンゴ』は日本の外にある日本語の世界についての本です。
ハワイに出かけるときには、日本語やその他の言語の影響をうけた英語の姿ばかりが気になっていましたが、ハワイの日本語の方もなかなか興味深いようです。本書は、ハワイに限らず、世界各地に広がった日本語の姿を紹介してくれます。
また、言語の変種についての考え方として、以下の箇所を引用してみます。
「現在では、『そもそも言語接触を経験していない、純粋な言語などというものはない』という認識が広がり、海外の日本語変種や非母語話者の日本語変種も含めて、これまであまり注目されなかった/無視されていた変種が、言語研究の正当な対象として承認されている。日本語の多様性と関連づけて言えば、かつては、中心部にある変種ほど正当な変種で、周辺部にある変種はそれが崩れたもの、あるいはもともと劣った変種とみなされることが多かった。しかし、周辺部の変種は中心部の変種が崩れたようなものでは決してない。それ自身が、コミュニケーションのために使用される現場において最適に機能する、独自のシステムをもった日本語変種として理解すべきなのである。」(p. 24)
以下は、本書の目次です。
はじめに
第1章 海外に飛び出した日本語
ひとつめの旅――日系人日本語変種を訪ねて
第2章 ハワイ――多言語に囲まれた暮らし
第3章 カナダ――分散する日本語
第4章 ブラジル――日本語をめぐる葛藤
ふたつめの旅――海外に残った日本語を訪ねて
第5章 台湾―― 一人歩きする日本語
第6章 パラオ――標準語をめざして
第7章 世界の日本語を科学する
あとがき
小原 健右、大鐘 良一 (著)『若田光一 日本人のリーダーシップ』(光文社新書、2016年)
同世代で、一時は環境を共有したことがあることもあり、若田さんにはとても関心を持っています。宇宙飛行には、技術・語学力・チームワークとさまざまな資質が要求されることがよくわかりました。取材をされた方々の努力にも感動です。(2016年)
目次には、「船長の仕事」「自分を客観視する力」「『和』の調整力」などがならんでいます。
以下は、印象に残ったところからの引用です。
「ウィットソンは、若田の宇宙飛行士としての能力と実績はもちろん評価しながらも、若田のパーソナリティこそが、船長に推す決め手の一つになったと明かした」(p. 21)