英語学習のタイミング
バトラー後藤裕子(著)『英語学習は早いほど良いのか』(岩波新書、2015)
英語学習では「臨界期」が問題になることが多い中、この本では、臨界期というものがそれほど単純ではないこと、現実に多様な英語が存在する中で、「完全な」発音を身につけることに膨大なエネルギーを使うことよりも本当の意味でのコミュニケーション能力を身につけることの方が重要ではないか、という議論がなされています。臨界期については、以下ののように書いてありました。
<引用>
「まず、臨界期がどの言語分野(音声、文法、語彙など)に存在するのかという点で、研究者により主張が異なる。音声面でしか臨界期は存在しないと主張する研究者もいれば、言語分野別に複数の臨界期が存在すると主張する人もいる。また、臨界期の存在を主張する研究者の間でも、その時期については、かなりのばらつきがある」(p. 54)