語形成に関すること
米倉綽・長野明子・島田雅晴(著)『英語と日本語における等位複合語』
米倉綽・長野明子・島田雅晴(著)『英語と日本語における等位複合語』(開拓社、2023年)が出版されました。著者の方々から献本をいただきました。ありがとうございます。本の紹介をさせていただきます。
本書は、等位複合語というテーマを共通の軸として、通時的な視点と共時的な視点から3名の著者が、英語と日本語の複合語のあり方を分析し、理論化を行った著書です。各章のタイトルを挙げると、
第1章 歴史的観点からみた英語の等位複合語(米倉)
第2章 等位複合語の定義と類型と形態(長野)
第3章 ト型等位複合と(additive dvandva) の諸問題(長野)
第4章 Dvandva複合との構造を考える(島田)
Dvandvaという用語が頻繁に出てきますが、第2章「等位複合語の定義と類型と形態」(長野著)で Bauer (2008)によるdvandvaの5つの分類がわかりやすく解説されていますので、引用してみたいと思います。以下、引用。
・additive型
「親子」のように、構成語を部分要素とし、それらを足し合わせた1つの単位を表すもの
・exocentric型
「善悪」「是非」「高低」「生死」のように、構成語の品詞と全体の品詞が必ずしも一致しないもの
・co-hyponymic型
「魚貝」のように、構成語に共通して想定できる上位語(この例ならば海産物)を表すもの
・co-synonymic型
「児童」のように、構成語が類義語・同義語であるもの
・compromise型
「北西」のように、構成語の意味の中間点が全体の意味になるもの(p. 69)
本書のユニークなところは、お菓子や料理の名前がどのようなつくりになっているかを、語形成の立場から、多数の事例を挙げながら分析したコラムがたくさん掲載されているところです。楽しみながら語形成について考えることが可能になっています。
引用文献
Bauer, Laurie. 2008. “Dvandva”. Word Structure 1: 1-20.