個人の言語から見た言語変化
秋元実治(著)『イギリス哲学者の英語 — 通時的研究』(開拓社、2023年)
開拓社から『イギリス哲学者の英語 — 通時的研究』が出版されました。献本をいただきました。ありがとうございます。本の紹介をさせていただきます。
近代英語期の代表的な哲学者6名、Francis Bacon (1561-1626)、Thomas Hobbes (1588-1679)、John Locke (1632-1704)、David Hume (1711-1776)、John Stuart Mill (1806-1873)、Bertrand Russell (1872-1970)の代表作を文献資料として、共通の言語学的テーマを掘り下げた著書になります。
取り上げたテーマは、挿入詞、合成術語構文、仮定法、動詞+補文、複合前置詞/動詞派生前置詞、ing、およびそれぞれの哲学者に特有の言語的特徴です。6名の哲学者の言語を追うことで、結果的に16世紀から20世紀におよぶ時代をの英語を分析することになりますので、通時的な変化が自然に浮かび上がる仕組みになっています。
哲学者についての概説としての第1章、取り上げるテーマの全体像を見通した第2章に続いて、第3章からは、6名の哲学者の英語を順番に分析し、最終章の第9章で、通時的な視点からの総括が行われています。仮定法の衰退や、I think等の挿入詞の発達など、いずれも近代英語期の言語変化を語る上で注目した重要な現象です。(2023年5月)