話し言葉の英語
コーパスを利用して話し言葉に特有の現象を見る
Gunnel Tottieの論文”Uh and Um as Sociolinguistic markers in British English” (2011) は話し言葉に出てくるuh, umといったいわゆるfillerを扱った論文です。コーパスでは、このようなfillerが正確にtranscribeされているかどうかに確信が持てないために、どうしても避けられがちな研究テーマとなります。
Tottie (2011)は、それを了解の上で、あえて注意しながら分析を行うというスタンスでBritish National Corpusの話し言葉のcontext-governedの部分とdemographicの部分を比較しました。そもそもuh, umが語として定義されるかという根本的な議論から始まり、慎重に分析を進めています。
その結果、uh, umが男性に多く、年齢が上の人に多く、教育水準が高い人に多いという比較的安定した結論を導いています。umはどちらかというと女性に多い傾向があるようで、これについても安定した統計結果を得ることに成功しています。
コーパスを使うのがやや難しいと言われている分野においても、使い方によってはコーパスの利用が有効であることを示した論文の一つであるということができるでしょう。
参照文献
Tottie, Gunnel. 2011. “Uh and Um as Sociolinguistic Markers in British English”. The International Journal of Corpus Linguistics 16: 173-196.