鈴木孝夫、その人
鈴木孝夫氏の印象に残るエピソードなど
『ことばと文化』(岩波新書、1973年)は、言語を社会というコンテキストの中で捉える社会言語学の基本図書でベストセラー。私も学生時代に読み、その後も何度が読み返した記憶がある本です。さらりと読めてしまうので、著者の鈴木孝夫氏の個性を強く感じるということはなかったと思いますが、当時の私の理解力が不足していたかもしれません。
慶応義塾大学名誉教授の高宮利行先生が、鈴木先生の追悼の動画を3本公開しておられます。その中で浮かび上がってくる鈴木氏がとても個性的で、大変興味深い動画になっています。
主に鈴木氏の子供時代を扱った「追悼 鈴木孝夫先生 第1回(#6)」、研究者としての鈴木氏、ケンブリッジ大学でのエピソード、行動の人としての鈴木氏等を扱った「追悼 鈴木孝夫先生 第2回(#7)」、虹の色についての研究のエピソードを中心とした「追悼 鈴木孝夫先生 第3回(#8)」のいずれも学ぶところがたくさんあります。
私はとりわけ第2回の中に収められた数々のエピソードが気に入りました。好奇心も知識も行動も鈴木氏に及ぶ人はそれほど多くないと思いますが、エピソードの内容をイメージするだけでも、大変元気づけられる動画になっています。
京都大学特別シンポジウムでの鈴木孝夫
鈴木孝夫氏が2014年に京都大学で講演をされたときの様子をYouTubeで見ることができます。「京都大学 特別シンポジウム『グローバル人材と日本語』-日本の国際化を担う人材が磨くべき言語能力とは- 鈴木孝夫(慶応大学名誉教授)2014年1月25日」にリンクをはりました。80代後半にして、大変なエネルギーを感じさせる講演となっています。
歴史を学ぶことの重要性、語学とどのように向き合うべきか、英語教育・日本語教育について考える際には、常に歴史を踏まえた自律的な視点が重要であることなど、考えさせられることが多い動画となっています。2014年にして、その後の国際社会の展開を見通しているという印象も強いです。講演なので、1時間を超える長めの動画となっていますが、見てみることをお薦めしたいです。