図書館が蔵書を守る仕組み
鎖でつながれた図書
図書の値段は高いと言えば高く、低いと言えば低い。わずかな金額で図書の中に収められた知識にアクセスすることができるのだと思えば、安いということもできるでしょう。しかし、大量の図書を所有するとなると、やはり財力が伴わなければ厳しいものがあります。
ヨーロッパの中世においては、基本的には動物の皮を使用した写本の形式のものを図書と言い、その作成には材料費が半端でなかっただけではなく、内容を転写する際にも一点一点、手で写していくことになるわけで、多くの蔵書を有するということは、そのこと自体、豊かさを示すものであったと言ってよいでしょう。中には彩色写本もあり、彩色の際に使用されたピグメントそのものが高価であった場合もあるでしょうし、場合によっては金箔が張られているものもありました。
このような状況下にあって、図書が本棚に鎖でつながれた鎖付き図書館というものが存在していたことも納得できることです。勝手に持ち去ることができないように、鎖がついたまま、ページを読み進めて行く構造になっています。物理的に図書を盗難から守る手段として鎖が使用されていたわけです。
現在でも図書館では出入口のところにセンサーがあり、図書を勝手に持ち去ることができないように工夫されている場合が少なくないことを考えると、人間と図書との関係は、現在も大きく変わっているわけではないのかもしれません。
ManchesterのChetham’s LibraryとHerefordのCathedral Libraryで鎖付き図書館を見ました。なかなか重く大きな鎖が本に繋がれています。
鎖付き図書館については、「イギリス南西部 ー グロスター、ヘレフォード」のページでも紹介しています。
Chetham’s Libraryを紹介したYouTubeがありましたので、下に貼り付けてみます。動画の中で鎖に繋がれた図書の映像も出てきます。