中英語写本の画像(大英図書館)

大英図書館の写本の検索サイトから

私が研究を始めた頃は、マイクロフィルムを取り寄せて画像を確認するというのが一般的でしたが、現在はデジタル化が進み、さらにそれを公開する動きも強まってきていますので、本当にありがたいと思います。以下は、British Libraryの検索サイトからいくつか有名な写本を探して、それぞれのページにリンクを張ったものです。デジタル化された写本の点数が多変多くなっていますので、大英図書館所蔵の写本については、まずこのページを確認してみるのがよいと思います。

Additional 35290

York Mystery Playsの写本で、カタログに記載されている年代は、15世紀の後半から16世紀。素材はparchmentです。こちらのサイトから545枚の画像が閲覧可能です。

Additional 59678

いわゆるWinchester Maloryと呼ばれるLe Morte Darthur (by Thomas Malory) の現存する唯一の写本です。(ただし、別にWilliam Caxtonによる印刷本はあります。)このサイトの説明にあるように、1976年に大英図書館がWinchester Collegeから購入して、現在は大英図書館所蔵です。写本の画像を見るには、こちらのカタログページから、進んでください。

Arundel 57

Dan Michel (at Northgate, Canterbury) によって書かれた有名なテキスト、Ayenbite of Inwytを含む写本です。こちらのカタログのサイトから、画像に進むことができます。中英語の写本は著者不明であることが多い中で、この写本は、著者がわかっているだけでなく、この作品が書き終えられたのが1340年であることもわかっています。

Cotton Caligula A IX

La3amon’s BrutやThe Owl and the Nightingaleを含む有名な写本です。カタログに記載の年代は、13世紀後半。中英語作品の中では比較的早い時期に属します。こちらのカタログに写本の詳細情報があり、その中のリンクから画像のサイトに移動することができます。どちらの作品も、研究者の間で別写本との比較が繰り返し行われています。

Cotton Nero A X

いわゆるGawain詩人が書いたといわれるPearl, Cleanness, Patience, Sir Gawain and the Green Nightを含む有名な写本です。カタログに記載の年代は、1375-1424。方言は、以前はもう少し北と想定されていましたが、現在はA Linguistic Atlas of Late Mediaeval Englishの貢献により、S. E. CheshrieあるいはN. E. Staffordshireと考えられています。カタログの詳細ページの画像リンクから移動してください。画像がやや不鮮明ですが、これが現物の状態を反映したものです。実際に大英図書館で現物を見たときも同様でした。むしろデジタル画像の方が見やすいような感じもします。4作品の著者は不明で、authorshipの問題をめぐって、研究者の間でさまざまな議論が展開されてきました。

Harley 2252

さまざまなテキストを含む写本ですが、特にIpomydon, B versionとStanzaic Morte Arthurを含むことで有名です。カタログに記載の年代は、15世紀後半から16世紀前半。素材は、紙です。こちらのカタログのサイトから画像に進んでください。