The Oxford English Dictionaryの使い方

OED Text Visualizer

OED Text Visualizerという大変便利なツール(beta版)があります。ボックスるに投入した英文(500語以内)がどのような単語から構成されているかをOEDの情報をもとに提示してくれます。初めて利用するときは、年代を投入することの意味がわかりにくいかもしれませんが、実際にやってみると、わかります。古英語から現在まで使用されている語、近代英語になって英語に借用された語、など、さまざまな語を組み合わせて英語の文章が構成されていることがわかります。

OEDで使用されている略号

辞書では、さまざまな略号を使用します。もともと紙の辞書ではスペースを節約することが大変重要でした。デジタル化が進んだ現在では、略号の使用はそれほど重要ではないのかもしれませんが、慣習により、まだ略号の使用は続いています。OEDについては、その数が大変多いので、OEDのサイトのAbbreviationsのページで確認する必要がでてくるかもしれません。

OEDのアップデイト情報

現在のオンライン版OEDは、3ヵ月に1回アップデイトされています。その情報は、ホームページに記録として残されていますので、こちらのページから確認してみましょう。たとえば、2023年9月のアップデイト情報は、こちらになります。新たに加えられた語、新たに加えられた意味など、さらに詳細な情報に進むことができるようになっています。新たな語そのものの追加も多いことがよくわかります。

OEDにおける古英語の取り扱い

英語の語彙の歴史を網羅的に提示することを意図して編纂されたOEDですが、古英語部分の取り扱いについては、Old English in the OEDの記載を確認しておく必要があるかと思います。1150年以前の文献資料に出てくるものについて、必ずしも網羅的であることが意図されていないことに注意が必要です。また、ここでの記載で当初は古英語が1250年までと考えられていたというのも、また別の意味で興味深いと感じます。

The Historical Thesaurus of English

The Historical Thesaurus of Englishは、OEDをもとに作成した史的thesaurusです。現代英語で作文をする際に適切な語彙を探すためにthesaurusを使用することがあります。The Historical Thesaurus of Englishは、これに時間軸を追加した、壮大な語彙のネットワークを提供してくれます。グラスゴー大学のプロジェクトの成果ですが、現在はOEDのサイトからも自由にアクセスすることが可能となっています。ただし、OEDのサイト内のThe Historical Thesaurus of Englishは、古英語の一部の情報が含まれていませんので、史的研究目的に利用する場合にはグラスゴー大学のサイトのものを利用するのがよいかもしれません。

Virtual tour: learn more about Oxford English Dictionary’s unique features

OEDは多数のオンラインセミナーを開催していて、その記録がホームページ上で公開されています。Virtual tour: learn more about Oxford English Dictionary’s unique featuresは、OEDの基本的な使い方を理解する上で、とても役立つセミナーだと思いましたので、リンクを貼ります。1時間近い長い動画ですが、学ぶところが多いです。

前半は、OEDを使ってさまざまなリサーチクエスチョンを解決する方法、後半はOEDページと連携するHistorical Thesaurusの使い方が中心になっていて、そのあとの質疑応答の部分も収録されています。

以前のOEDでは各エントリーにまとめて表示されていたpronunciation, forms, etymology等が、現在ではタブ切り替えになっていますので、タブを上手に使うことが必要になってきます。また現在は、定期的に辞書自体が更新されていますので、更新情報をRevisionのところから確認することも重要です。

各種リサーチクエスチョンへの解答にたどり着くためには、左側コラムにある絞り込み機能を上手に使いこなすことが必要であることもわかります。World Englishesについても、カバーする範囲がかなり広くなっていることがわかりますし、作家ごとの絞り込み、語源による絞り込みなど多数のメニューが提供されています。これらを組み合わせて使用することが鍵になるようです。

Historical Thesaurusの機能を利用する方法も複数用意されています。各単語の検索窓で辞書とthesaurusを切り替えて使うこともできますし、トップページから直接thesaurusに入る方法、一旦単語のエントリーを表示させてそこからthesaurusに入る方法などが紹介されました。ここでも左側コラムを使った絞り込みが威力を発揮することがわかります。
The OED and research: event recordingsへのリンク(新しい動画が少しずつ増えているようです)