歴史社会言語学・歴史語用論という分野

高田博行・小野寺典子・青木博史(編) 『歴史語用論の方法』(Methods in Historical Pragmatics)(ひつじ書房, 2018年)

21世紀に入って活気づいてきていると感じる分野に、歴史社会言語学、歴史語用論があり、両者が共通の基盤で相互に乗り入れすることが多いのも、最近の特徴です。本書の編者は、両分野で活躍している研究者でもあります。

本書は論文集の形式をとっており、その構成は、第1部「語用論的フィロロジー」、第2部「通時的語用論1<形式ー機能の対応づけ>」、第3部「通時的語用論2<機能ー形式の対応づけ>」となっています。全体で14章となります。

本ブログの管理者である家入も、第5章を分担執筆しました。取り上げたのは中英語の『カンタベリ物語』で、その最終話「牧師の話」をめぐる語用論的な分析を行いました。その書誌情報は、以下のようになっています。

書誌情報

家入葉子. 2018.「従属節の配置に見る読者との対話―『カンタベリ物語』の最終話「牧師の話」をめぐって」 高田博行・小野寺典子・青木博史(編) 『歴史語用論の方法』(Methods in Historical Pragmatics) pp. 95-112. 東京:ひつじ書房.

主節と従属節の関係を情報や認知的な視点から分析しました。if, though, when, because (by cause), tillで導かれた節の文中での位置に焦点を当てました。

高田博行・渋谷勝己・家入葉子 (編著)『歴史社会言語学入門―社会から読み解くことばの移り変わり』 (大修館書店、2015年)

日本で歴史社会言語学という用語が本格的に使用されるようになったのは、この本の出版あたりからではないでしょうか。こちらの本では、家入も編集者として仕事をさせていただきました。本書のさらなる詳細については、こちらの専用ページをご覧ください。目次も含めて紹介しています。

Historical Sociolinguistics Network (HiSoN)

参考情報です。

歴史社会言語学を研究領域とする研究者たちの世界的なネットワークとして、HiSoN (Historical Sociolinguistics Network) があります。毎年、年次大会を開催するほか、若手研究者のためのセミナーなど、さまざまなイベントを開催しています。