文法の考え方
記述文法と規範文法、およびバリエーション
文法には、規範文法(prescriptive grammar)と記述文法(descriptive grammar)があります。規範文法は、規範ということば示すように、従うべき規則を提示することを主な目的としていますので、言語使用者は規則に対して従属的であり、規則に従わなければないという考え方に基づいています。
一方記述文法は、まずは先入観を排除し、言語をありのままに観察し、その観察した結果を記述しようという立場に立っています。言語研究は、言語を科学的に解明しようという立場に立っていますので、その考え方が記述文法のそれであることは容易に想像できるでしょう。
一方、学校文法では、あらかじめ規則を提示していくことはある程度避けられませんので、規範的な側面が多少入り込むことはやむをえないと考えられます。ただし、その規則を考える上で、最近ではコーパスによる言語調査が行われるなど、記述的な手法も多々用いられていますので、折衷的な立場を取っていると考えることができます。
言語を記述的な立場で観察していると、言語の中にさまざまなバリエーションが存在していることがわかります。このバリエーションには地域的な違い、フォーマリティの違い、コミュニティによる違いなど、さまざまな要因が関連していることが少なくありません。もしこのバリエーションに世代による違いがあるとすれば、それは言語変化が進行していることを示している場合が多いので、言語変化の視点から眺めてみる必要も出てきます。このように、言語の変異と変化は密接に関連しています。言語変化は、現代英語の中にも存在します。
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