北田博充(著)『これからの本屋』(2016年)
本屋さんの面白さ
著者の北田博充さんの講演を聞いて大変面白い方だと思いましたので、ご著書も読んでみることにしました。北田さんが面白いと思われる本屋さんへのインタビューがかなりの部分になっていると同時に、とてもユニークな本屋さんや、本屋さんのユニークな試みも紹介されています。
一つの軸は、自ら納得のいく形を従来型の概念にとらわれずに追究している方向性、もう一つは顧客、あるいはこれから顧客になってくれる人達に関心をもってもらうために、さまざまな仕掛けをしていく方向性です。この2つの軸を中心に、いろいろな本屋さんの紹介、自らが手掛けた仕事の紹介がなされています。
特に印象に残ったのは、小説の中に出てくる「モノ」を作り、本とともに販売する書店(HON X MONO BOOKS)で、扱ってい商品が一種類という本屋さん。三浦海岸に満月の夜だけ現れる本屋さんにもびっくりしました。いずれも前者の軸になります。一方で、Birthday Bunkoは2番目の軸で、1月1日から12月31日までのそれぞれの日に生まれた著者の本をオリジナルなカバーで販売すると、プレゼント用に、など驚くほどの売り上げにつながったというもの。
本屋さんと言えば、値段も決まっているし、レイアウトも似ていて、どの本を棚に並べるかだけが個性を表すところだと勘違いしてしまいそうですが、どこまでも工夫の余地があるのだとわかりました。いろいろな業界に応用できそうです。